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スウェーデン子育記

2003/08/01

第10回 出産後、3日で退院

スウェーデンの病院で男の子を出産し、事後処理を行った後、僕たち以外は皆、部屋を出て行ってしまいました。体もまだ拭かれていない赤ん坊は母親の胸の上に置かれたままで、親子だけの時間をくれたようです。赤ちゃんは母親のお乳を探す本能があるそうですが、なるべく早くから母親との接触を図ることが大事だそうです。

 余韻に浸ったり、赤ちゃんを触ったりしているとあっという間に3時間近くが過ぎてしまいました。助産婦さん達が帰ってくる気配が全くないので、とりあえず家族にでも電話をしようと思い、ナース・ステーションへ行くと、皆さんはコーヒー・タイムでした(笑)。「もう充分?」と聞かれ、写真を撮って、病院のホームページに掲載するから、その後に連絡すると良いと勧めてくれました。

赤ちゃんの体を洗って、服を着せ髪を整えて撮影しました。助産婦さんが髪を梳かしてくれたのですが、ベッカムが一時期やっていた様に頭頂部へ向けて髪を流していました。結構、似合っている(気がする)のでその後も時々、その様にしています。ここで、(たしか)ビタミンKの注射も打ちました。

 スウェーデンの大抵の病院では生まれた子供の写真をホームページ上に載せてあり、友人、知人や遠くに住んでいる海外の家族にもすぐに子供を見せることが出来るようになっています。出産時の身長、体重や簡単な挨拶文を添えて1年間公開されています。

 赤ちゃんが本能でお乳を探すのを見せてもらってから、母子はベッドに乗ったまま、家族室(入院室)へ移りました。ここには希望することで、父親も一緒に滞在することが出来るので、僕用のベッドも用意してもらいました。大抵の父親は帰宅し、赤ちゃんを家へ迎える準備や、車用のベビーシートを借りに行きます。既に子供がいる家族の場合はとても大変そうです。

スウェーデンでは出産後の入院期間は3晩ほどが平均で、早いと2日で退院できるそうです。僕たちは出産時間などの関係で結局、4泊しました。妊娠判明からここまでは全く経済的負担はありませんでしたが、この入院時には一日約1000円を請求されます。父親が泊まる場合はもう少し高くなります。それでも3食全てと軽食、診察なども含まれているので、とても助かります。レストランから配膳される食事は、濃いめの味でしたが、美味しかったです。

 家族室に移ってから初めて知ったのですが、赤ちゃんのよだれかと思っていたら胎内で飲んでいた羊水を吐いているのだそうです。最初の数日間のウンチも全く違う色をしていることを知りました。ほぼ真っ黒でした。初日は特に診察もなく、疲れを取る為にゆっくりしました。一度も母子を離ればなれにすることがなく、一緒に寝ることができました。とても良いことだと感じました。

小さな手ですが、けっこう指が長いです

母親の腕と、子供の足に同じ番号のバンドが巻かれています

出産後、最初のお昼御飯です

入院期間中、授乳法、お風呂の入れ方等を教わりました。子供が落ち着かない時は、親の指をくわえさせると良いと教わったので、早速、オムツ替え時に試すと効果抜群でした。検査の為の採血も行い、3日目には小児科医による診察もありました。身長、体重を計測してから小さな聴診器で心音を聴いたり、瞳孔の動きを確認しましたが、特に問題はなさそうでした。滞在期間中にはたくさんの試供品をもらいました。オムツや、クリームなどからコダックのフィルムまで、赤ちゃんの誕生した家族へ向けての売り込みが早くも始まっていました。

誕生2日後の28日午後、肝心の名前を決定しました。萌(もゆる)です。草木が芽生えるという意味のある言葉でスウェーデンのこの時期にピッタリだと思いました。スウェーデンでは名前を決定するまで3ヶ月の猶予があります。じっくり考える為だそうですが、実際はすぐに決める人も多いそうです。僕の生まれたドイツでは逆に24時間以内だったらしいです。

 退院当日は、僕たちが日本人だということで、通訳を交えて細かい話になりました。僕はその時、車のベビーシートを借りに行っていたら渋滞に巻き込まれ不在でしたが、大事な事を話したようです。移民のとても多いスウェーデンでは病院が通訳を簡単に手配出来るようなシステムがあるようです。ここで来院時からこれまでの詳細が書かれた用紙を受け取って説明を受けました。専門用語だらけですが、出産経過中の処置(注射や各数値等)などの確認も行いました。

点滴何ミリリットルなど、しっかりしていると思っていたのですが、よく見てみると出産初期に鍼を刺した事が載っていませんでした。チェック項目はあるのですが、未記入でした(笑)。子宮口が全開してから出産まで2時間くらいかかったと思っていたのですが、実際は1時間ほどでした。

幼児用の小さな聴診器で検査

体重を測定し、すぐにコンピュータへ入力

検査機器を取り付けて計測中。 眠そうですねー

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!