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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2006.09.20

第49回 3年ぶりのカペラゴーデン。(中編)

こんにちは! ストックホルムの朝夕は油断すると凍えるほどになってきました。今回のリポートは前編に引き続き、夏真っ盛りに訪れた僕の母校カペラゴーデンについて紹介します。

滞在期間中にはサマーコースが開催されていたので、僕は家族を連れて各コースを見学して回り、物を自分の手で作り出す素晴らしさを再認識しました。

陶芸コースの校舎です。6年前に新設され、最新のシステムが備わっています。おそらくカペラゴーデンの中で、一番効率良く作業できる場所でしょう。


最新というと、近代的な工房かとも思いますが、実際は環境対策や伝統をも考慮しています。あまり詳しくないので分かりませんが、例えばこの壁の塗装などもその一つです。


余裕を持った広いスペースが、それぞれに割り当てられています。


僕の息子(3歳)は撮影時のアシスタントを担当。その場にいるだけで、周りの雰囲気を和ませてくれるので助かりました(笑)。


アシスタントとはいえ、初めて見る物ばかりで興味津々のようです。


ろくろでの作業を始めたところ。


各作業場ごとにある窓の構造は、光の採り入れや、開閉できる場所などが考慮されています。しかし、こちらの人は脚が長いなあ…


注ぎ口の位置を検討中。


余分になった粘土が置かれていました。


釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を塗っています。


ろくろで器の形に形成していきます。真剣な眼差しですね。


作業場の隣にある講義室。この様な柔らかい光を発するランプを、北欧ではよく見かけます。


窯入れを待つ作品たち。


いよいよ窯入れです。これは電気釜ですが、カペラゴーデンには色々なタイプの窯が揃っています。


他のコースより一足早く作品が揃い、講評会。


カペラゴーデン本科の先生でもあるケネット。


次は木工コースを見てみましょう。


木工作業用としては、おそらく一番理に適っていると思われる作業台。


老若男女、様々な経歴を持った参加者を選ぶのは、カペラゴーデンの大きな特徴。サマーコースでもその方針は変わりません。年齢層はさらに広くなります。


本科の先生でもあるベンクト。3年ぶりにもかかわらず、いつも通りの教官室でした。


参加者の希望に沿った物を作る事が出来るのも、カペラゴーデンの大きな特徴。


突き板(スライスした薄い板。ベニヤ)の使用法を教えるベンクト。


彼は風車を模した、非常に独創的な器を作っています。


スプーンや、お玉の製作はサマーコースの定番課題。自分の手を使って作る事で、沢山の事を学べます。


歩いて10分くらいの所にある展示場で、夏の間だけ、本科の学生による作品展示会が開催されています。サマーコースの参加者と共に見学に出かけました。写真は夏至祭で使うメイポール。道の途中で見かけました。


まずは展示会場近くの教会にあるお墓へ。カペラゴーデン創設者のカール マルムステン夫妻がここに眠っています。墓碑は木で出来ています。


展示会場に到着。


白い壁のお陰で柔らかい光が室内に満ちています。が、この日は真夏の陽気だったので、室内もかなり暑かったです…


木工コースのアシスタントである卒業生が、自分の職人試験作品を紹介。もちろん、僕も食い入るように見てきました。彼はこの秋からマルムステン校のデザイン科に入学します。


今年は2人の学生が職人試験に挑戦しました。これはスライド関連機器を収納する棚。


職人試験作品以外も高レベルな物ばかり。マルムステン校とは趣が異なりますが、見応え抜群です。


実用的な物から、芸術性が高い物まで色々と並んでいます。


それぞれの作品が、お互いを装飾するように引き立て役となっています。


一点物ばかり。


1年生は、マルムステン家具を元に新たな解釈をするという課題が科せられたようです。この戸棚(オリジナルは、カペラゴーデンの学生寮の為にマルムステンがデザインした)を作った学生は、木彫がずば抜けて上手でした。


シンプルで綺麗な椅子ですが、興味深い構造になっています。


日本人の学生が製作した戸棚。実は僕もカペラゴーデン在学中に作った物(現在も自宅で使用しています)なので、非常に気になりました。シンプルに見えますが、作るのはかなり大変。


この椅子も作った事がある物。僕の物と比べてどうだろう? と舐めるように見て回りました。


オーディオ用キャビネット。


実は会場入り口にあった、この木のオモチャを一番気に入りました。息子用に欲しかった(笑)…


会場を出て、またカペラゴーデンへ戻ってきました。ここは織機が並んでいるテキスタイル科の作業場。


今回のサマーコースには織りのコースが無かった為、とても静かでした。


様々な織り糸が並んでいる材料庫。綺麗で見とれてしまいます。


今回はテキスタイル プリントがテキスタイルコースの主要課題です。


原画の準備中。


そこからシルクスクリーン印刷用の原版を用意します。


奥で先生のリサと参加者がデザインの検討中。


印刷後にスクリーンを乾かしています。


染めもテキスタイル コースの課題の一つ。カペラゴーデンの庭に映えて綺麗です。


次回、後編ではサマーコースの作品展示会などを紹介しますので、お楽しみに!

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!