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スウェーデン木工留学記
ストックホルム編
2009.06.03
第74回 97歳の機関車による鉄道の旅
こんにちは! ストックホルムの須藤です。ようやくスウェーデンも春らしくなり、気持ちの良い日々が続いています。
今回は初春に催されたイベントを紹介しましょう。3歳と5歳の子供を連れて、97歳の機関車と100歳超の客車による鉄道の旅でした。イベント当日の日曜日、一番張り切っていたのはこども達ではなく、たぶん僕(笑)。
出発の一時間以上前にもかかわらず、9時前にストックホルム中央駅へ到着。機関車の到着を待っている僕の家族。背景にストックホルム市庁舎と青空という最高のロケーションです。街灯も可愛いです。 |
遠くから汽笛が聞こえてきたので、そろそろかっ!? と思い始めたら、あーーーっ、来ましたー!! |
物凄い存在感で近づいてきます。そう、蒸気機関車による旅なのです。 |
アクセル(正確には何と言うのでしょうか?)を抜いた瞬間だと思う。ここからは蒸気を噴射せずに、惰性だけでスーッと滑るように入線してきました。撮影する側の本音としては、ド派手にボーッ!!! と煙を出して欲しかった(笑)。 |
鉄ちゃんらしき人もチラホラといます。 |
機関車の後ろにある車両が荷物室です。自転車とかベビーカーはこちらに積みます。 |
さあ、乗車です。席取り合戦が始まります。 |
97歳の蒸気機関車に引かれながら旅行をするなら、やっぱり古い客車に乗りたい。金属製の客車は60歳と若いので、僕たちは木造の三等車へ。100歳超えているというだけで驚きます。 |
三等の文字。それでも安っぽくありません。 |
客車内。向こう側には木製の椅子が見えていますが、手前側はクッションが被っています。僕たちが座ったのは向こう側。日帰りの旅とはいえ、乗車時間は片道3時間ほどあるので、固い椅子はちょっと疲れます。 |
三等とは言っても、今時の電車と比べたら、ずっと趣があって、むしろ高級感まで感じます。 |
大きな湖の周囲を走り、18時頃にストックホルムに帰ってくるという旅程。車内は満席。子供連れだけではなく、鉄道好きと思われる方もたくさん乗車していました。 |
超高速鉄道と比べると、車窓からの景色もゆっくりと流れていきます。 |
現代の電車では絶対に出来ないことが、走行中に客車から外に出ること。 |
この写真の客車に乗りました。風が強い。音もすごい。 |
油断するわけにはいかないので気が抜けません。迫力満点です。時速50キロくらいでしょうか。 |
ものすごい開放感です。 |
こうやってのんびりと移動しながら、折り返し地点の街に到着。 |
ここで一旦下車して、二時間ほどの休憩。街で昼食にしました。 |
そして、ちょっと早く駅へ戻ってきたら、機関車の整備所まですぐだという情報をキャッチ。 |
最高に嬉しい一枚が撮れました。駅のホームにいたら絶対に撮れなかったアングルです。 |
この赤塗装がちょっと洒落ていますね。 |
整備中の機関車のすぐ近くには、朽ち果てた車両や、廃棄を待っていると思われる車両が並んでいる場所がありました。立ち入り禁止になっているわけでもないので、見学してみることに。 |
派手に腐食が進んでいる貨物車両の上に立ってみました。 |
汽車の旅だけあって、こども達は元気が有り余っているようです(笑)。 |
車両の土台だけとはいえ、背よりもずっと高いですので要注意です。 |
もうすぐ4歳になる娘と、100歳間近の蒸気機関車。すごい対比ですが、100歳でもこうやって走れる汽車があるというだけでも驚きです。 |
整備完了直前。もっと早く来れば機関室も見せてもらえたかもしれません。 |
潤滑油でピカピカの軸たち。物凄い力でクランクを動かすのでしょうね。しかし、一体どうやってこれだけの物を維持しているのでしょうか。 |
そういえば、ちょうどこの頃にボールベアリングを発明したのはスウェーデン人。機関車の軸受けには打ってつけだったことでしょう。 |
整備終了間際の機関車。 |
整備が終わって、貨車に連結するところ。機関士が出てくるのかと思ったら、運転士が作業に出てきた。責任者として、しっかりと目視確認するべきなのかもしれません。 |
のんびりと観察していましたが、そろそろ出発との合図。横に見えるのは、金属製の車両です。木造車両と比べると若くて、60歳ほど。 |
折り返し駅に再入線する前に、ここから乗車することに。驚くことに、OKとの許可が。アバウトで良いですね。本当は動き始めるところも見たいのですが、置いて行かれるので、大急ぎで客車へ戻りました。 |
先に乗車できたお陰で、クッション付きの座席を確保。ゆっくりとした帰路が始まりました。 |
またデッキに出てみました。影が素敵です。 |
この様な装飾は、現代の工業製品では一番に省かれるところだと思います。 |
この鉄の扉でさえも、美しさが漂っています。ただの格子より遙かに綺麗です。大量に生産される規格品が主な現代の工業製品との大きな差だと思います。実用性、効率の良さを追求すれば、現代的な物の方が断然優れているのですが、こういう美しい物もたくさん残って欲しいです。 |
三等車とはいえ、鉄道による旅が特別なことだったことが想像できる貴重な体験でした。実は生まれて初めての蒸気機関車の旅でもありました。年に数回、このようなイベントがあるようですので、また乗ってみたいものです。
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!