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スウェーデン木工留学記
ストックホルム編
2010.07.07
第81回 ついに最終回。マルムステン校の卒展
こんにちは!以前にもお伝えした通り、10年ものスウェーデン滞在を終え、昨秋、日本へ帰国いたしました。少しずつ日本での生活に戻り、新たな活動の準備を進めています。それに伴い、このレポートも最終回とさせていただくことになりました。 最終回の内容をどうしようかなと考えていたら、帰国前に訪れたマルムステン校の2009年度卒業作品展の紹介をしていないことに気付きました。この学校での出来事を中心に進めてきた、当レポートの最後に相応しい内容だと思いますので、ぜひご覧ください。
スウェーデン最高峰と称されるだけあり、この年の作品展も素晴らしい内容で力作揃いでした。写真に写っているのは、僕の娘ですが、まるで審査官の様でしょう(笑)。 |
これはデザイン科の学生によるプロジェクト。規格化されたユニットを用いたていますが、すぐにでも商品化できそうに思いました。剛性を高めれば尚、良さそうです。 |
家具製作科の学生による作品群。左の書斎机が彼の職人試験受験作品。自分で作った物たちで一部屋を表現しています。 |
こちらの学生は二つの戸棚を展示。奥の戸棚が職人試験の受験で作った物ですが、手前の戸棚も奇抜で面白いです。柄は象嵌(ぞうがん)技法によって表現されています。 |
チェスボードを見つけました。 |
これはゲーム台になっていて、内側はバックギャモン用の紋様が施されています。先ほどの板を取り付ければチェス台になるという、非常に贅沢な作りです。 |
一年生の学生による、もう一つのチェスボード。多くの人の興味をひいていることが、展示台上の足跡からよく分かります(笑)。 |
木目の向きを変えることで、柄を表現するというテクニックを用いています。同じ素材でも、木目の向き、光の当たり方で見え方が全く変わることが良く分かります。 |
職人試験を受験した書斎机。書類の収納に良さそうですが、掃除はちょっと大変かもしれません。そして、奥に見えているのが、製作課題の中で作ったウェグナーの椅子。通称「従者の椅子」。 |
かなり特徴ある椅子なのですが、娘が使い方を実演します。 |
座面がズボン掛けとしての役割を持っています。背もたれはハンガーその物ですね。 |
この座面下には小物入れが備わっています。時計や、鍵束などを入れておくと良いかもしれません。 |
背もたれの造形を見ると、本当に丁寧に作られていることが分かります。曲線も、木目も綺麗ですよね。 |
この部分、通常は目につきにくい場所ですが、ドキッとするほど綺麗です。 |
ちょっと一休み。 |
さて問題です。ここでは、壁に絵を描いて室内を表現しています。でも、ちょっとした仕掛けが隠されていました。家具作品はどこにあると思いますか? |
息子が気付きました。 |
壁の中に作品が埋まっているんです。 |
これの為に、壁全部を新たに用意しているのですから面白いですね。奥行きもありますから随分と大がかりです。 |
すぐ横には、彼の職人試験作品。独創的な外装ですね。近づいてみましょう。 |
日本の浮造り(うづくり)という技法を使い、表面を加工しています。 |
内側にも抜かりは無く、非常に綺麗なキャビネットに仕上がっています。 |
さて、冒頭でも述べましたが当レポートは今回が最終回となります。2003年3月からですので、なんと7年以上も続いていたのですね。その間に、私の様々な経験を皆さんにご覧頂けたことをとても嬉しく思います。さらには著書を出版するという機会を得ることができたのも、このJDNレポートがあったからだと思っています。私のスウェーデン記録として、最高の場となりました。 |
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!