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スウェーデン木工留学記
カペラゴーデン編
2003/01/08
第17回 森へ木を切り倒しに出かける
カペラゴーデンでの家具製作に必要な材料は通常、製材所からすでに乾燥し、状態の良い物を選択し購入します。しかし、この年度の3年生の一人は機械を使わないでなるべく手道具で作品製作をしたいという考えを持っていて、材料の木から自ら切り倒して用意をすることになりました。
鋸(のこぎり)は木を切り倒すのに適した刃を持っている物を2種類持っていきました。木の繊維を切断する刃と削りカスをかき出す刃があり、大鋸屑(おがくず)がつまらないように隙間が大きく空いています。生の木は水を多く含んでいる為に大鋸屑は乾いている物と比べて、排出しづらいのです
一番最初にする大事なことは木を倒す方向を決定することです。そちら側には人は立たないようにします。もちろん他に邪魔になる木などがないほうが最適です。
倒す側を斧(おの)で少し削り落とし、作業開始です。鋸は左右から二人で押したり引いたりして使用するタイプなのでリズムが必要です。少し削ると木の抵抗、重さなどで鋸が重くなるので楔(くさび)を少し打ち込んでまた鋸で切り進みます。倒れる方への方向付けにもなっていると思います。
これを何度か繰り返していくと、ある時、ミシッっと音が。急いで離れます。倒れる方向は決めてあるとはいえ、安全の為にも距離を置きます。もちろん木を切り倒すのは初めてだったのですが、すごい音をたてながら倒れました。
特殊な鋸
この真ん中の背の高い木を切り倒します
倒したい側を斧で削ります
鋸を入れ始めたところです
木の楔を打ち込み、切削しやすくします
倒れる瞬間。迫力満点
今度は製材です。その場で移動しやすいサイズに切り分けてしまいます。ここでもひたすらノコギリの仕事。皆で順番に鋸仕事をしていきました。とてもハードな仕事だと実感しました。この日はここまでの作業だったのですが、後日はその丸太を板に挽(ひ)く作業をしました。実際、僕はその作業には参加しなかったのですが、3年目の今年、同じ事を行ったので書き加えてしまいます。
丸太の木目を見て、板の取る方向を確認し、楔を打ち込みます。金属の楔を強く打ち込んでいくとピシッと割れが走るので、その方向にまた楔を入れて打ち込んでいくと、材木を割ることができます。木の繊維が綺麗に通っている物ほどまっすぐに裂けるので後々、板にする時に作業が楽になります。
さらにもう一つ、今回おこなったのはチェーンソーで板に製材する作業。木を切り倒したその場で台を作り、丸太を置いて製材してしまうという事でした。現在の製材事情ではやらないことだと思いますが、なかなか興味深いものでした。
切り出した材料達はその後はカペラゴーデン内にある小さな乾燥室で時間をかけて乾かし、やっと使用できるようになりました。彼はその後の製作も手道具を主にして続けていきました。
木を割ったりすることは正しい知識を持っていれば体力と仲間が必要ですが、そんなに難しいことではないのだと知りました。ちなみに切り倒したのは、Ashタモの木でした。
残り1/4くらいで倒れたことが分かります
僕も切削作業に参加。グローブが無かったので、少々辛い
バラバラになりました。この後、板に製材します
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!