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スウェーデン木工留学記
カペラゴーデン編
2003/06/17
第37回 ベンツバスの旅 - 刺身を求めてベルゲンへ -
2002年夏の旅行がスタートし、まずは前号で紹介したリーセ・フィヨルド地帯を訪れました。その後、沿岸部よりもやや内陸を走って北を目指しました。今度の大きな目標地はノルウェー第2の都市ベルゲンです。 これはベルゲンのキャンピングカー専用駐車場。ここに見えるのは普通サイズの車ばかりです
6月23日に道路沿いの休憩所を出発し、様々なフィヨルド地帯を走り抜けました。道路は相変わらず広がったり、狭まったり、急な上り坂又は下り坂が連発し、対向車が来る時はとても気を使いました。それでもたくさんの旅行者が走っています。日本と明らかに異なるのはキャンピングカーが大多数ということです。一体型もあれば、乗用車で引っ張るタイプの物まで様々です。
トラック?と思えるくらい長いキャンピングカーも走っています。この種の車を購入する人も多そうですが、レンタルする事も出来るようでキャンピング誌にはたくさんの広告が載っています。中身は素晴らしく、ほとんど家を引っ張っていると言っても良いくらいです。トイレやキッチンもあり、高級なモデルになるとシャワーが付いているようです。もちろん座り心地の良さそうなソファーのあるリビングルームも。
実際、様々な所で新旧のキャンピングカーを「外から」観察しました。大きなキャンピングカーからは大抵、家族丸ごと6,7人くらい(ペット付き)が降りてきました。パラボラアンテナも搭載していて、日韓ワールドカップ観戦もどこでも可能の模様。僕たちが外にコンロを出して料理をしていても彼らは車内でジュワーッとお肉を焼く事が出来ます。
それだけ大きいキャンピングカーでも、まだ不満のようでキャンピング場では車の側面にビニールハウスの様に屋根と覆いをつけ数倍のスペースを確保。完全に自宅化します。数日間ではなく、週単位で滞在する彼らの力の入れ様は呆れるほどです。乗用車で引っ張っている場合は、連結部を外す事で近場の観光時は身軽になれます。
その様な車の中、僕たちの車はかなり異色な存在で、中をジロジロと見られます。感激してくれる人や、良くやるなあ・・という人まで様々で面白かったです。僕たちの車はさすがにトイレはありませんでしたが、他は似た事は出来るようになっていて、彼らと同じように好きな場所で寝泊まりする事が出来ます。
キャンピングカーにはトイレの汚物タンクが装備されています。スウェーデンでは大抵、キャンピング場で処理出来るようになっているのですがノルウェーでは道路脇の休憩所やガソリンスタンドなどずっと多くの場所で処理を出来る様になっています。処理施設の道路標識もちゃんとあるほどでキャンピングカー需要がとても大きい事が分かります。キャンピング誌には冬のスキー特集もあるほどです。雪国でのキャンピングカー・テスト!という感じでうらやましいです。
途中で少し休憩
道ばたで買ったサクランボ
家になってしまっているキャンピングカーの一例です。これより大きい物もあります
道路脇の滝。有名な滝なのですが名前は忘れてしまいました
フィヨルドを渡るフェリー
北へ進む過程で何度もフィヨルドに突き当たりました。その度にフェリーを待つ事になります。幹線道路なので船の本数も多く、それほど待ちません。車を載せる為だけの貨物船の様になっていて15分くらいで対岸に着きます。船内で料金精算しているので、すぐに走り出せます。
この時期はちょうど果物の収穫時期に重なっていました。果樹園が集中する地帯があり、イチゴやサクランボが路上販売されていました。おやつに最適で、道ばたに出ている値札に敏感になりました。ノルウェーは僕のイメージからすると北欧で一番、物価が高いと思います。消費税はスウェーデンと同じく25パーセント(4万円の買い物をすると税金がさらに1万円!)。外食をしてしまうとアッという間にお金が無くなります。日用品や食料は比較的、購入しやすい値段に抑えられています。
26日、フロム鉄道に乗ってみました。オスロとベルゲン間を鉄道で直接行ってしまわないで、大多数の乗客が途中で下車してフィヨルド観光をする有名な場所です。通常の鉄道の中では世界最勾配を走ります。一般的には片道だけフロム鉄道に乗り、船でフィヨルドを抜け、さらにバスに乗って、違う駅からベルゲン行きの電車に再び乗るのですが、僕たちは車があるので往復ともフロム鉄道に乗りました。
往路はガラガラでしたが復路はオスロからの客と重なり満員状態でした。フロム鉄道は中間にある滝で10分ほど一時停止をし、乗客を下車させてくれます。ここではちょっとしたイベントがあり皆を楽しませてくれました。
開通したばかりの全長25キロのトンネルを通りました。このトンネルが無いとまた急勾配を走ることになるところでした。トンネルは普通なのですが、途中3カ所が緊急退避所となっていて、ライトアップ?されていました。この地域は氷河が多く残っているので氷の中にいる様なイメージにしているのだろうと思います。
分かりにくいのですが氷河は氷がさらに圧縮されていてやや水色がかった色になります
前日までは氷河地帯だとは知らず、予定していなかったルートを通り、氷河博物館へ行き、その晩は氷河の先端が目の前まで来ている所で泊まりました。さすがに寒いのですがさらに不気味なのは、氷河が少しずつ動く音(実際は流れている)がゴゴゴッと地鳴りや雷の様に鳴り続けていた事です。金属のスパイクが付いた靴などを履き、氷河を登る氷河ツアーというものもありましたが遠慮しておきました。
翌日にはベルゲンへ到着しました。歴史ある街で木造の家が建ち並ぶブリッゲン地区は世界遺産に登録されています。ここにはお土産物屋が集中していますが僕はダブルのアイスクリームを食べました。2玉とも大好きなラムレーズン。宿泊は町はずれにある一体型キャンピングカーのみの駐車場。キャンピングカー向けの設備が整っていて、シャワールームも完備して一泊千円くらい。港の目の前で景色も良く、激安に感じました。
港町だけあって魚市場の規模は大きく、僕たちの一番の興味は食材の購入でした。鮭とニシン、さらにムール貝を1キロ買い込み、車の所へ戻り、料理をしました。安物の包丁でしたが、旅行前に研ぎ上げておいたので切れ味抜群。魚は刺身にし、ムール貝はワイン蒸しにしました。ノルウェーの鮭はマグロのオオトロ並に油がのっていて最高に美味しいです。豪華な食事でした。おもわず翌日も刺身を食べました。
町中のインターネット・カフェで自分のコンピュータを繋がせてもらう事が出来、ここで家族や友達にメールや写真を送る事が出来ました。旅行中はなかなか連絡が出来ないのでとても助かりました。
この次はデンマークへ渡り、レゴランドを目指しました。ここまでの走行距離約2200km。
フロム鉄道。これから登って行きます
素敵な色の車内。上り線はがら空きのようです
トンネル内の待避所。氷をイメージするライトアップがされています
ベルゲンの魚市場で。カニ等も売っています
刺身とムール貝を調理中。ワインも手に入れました。青空の下で食べると最高です
波が全く無いと、鏡の様な水面になります
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!