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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2003.07.02

第5回 2002-03年度 カペラゴーデン夏の展示会

こんにちは、須藤 生です。まずは私的な報告をさせて頂きます。5月26日に父親になりました。そして、この秋からストックホルムにあるカール・マルムステンCTDへ入学する事にもなりました。マルムステン校は第1回のレポートでも紹介していますが、カペラゴーデンと共にスウェーデンで家具製作を学ぶ場合の最高の学校です。しかし両校は校風など趣がかなり異なっているそうで、いずれレポートしてみたいと思います。田舎にあるカペラゴーデンから、新たな事を知る為に、都会へ移るのは少し楽しみです。

さて今回は、カペラゴーデンの卒展とも言える夏の展示会の紹介をします。カペラゴーデンの1年間は8月後半から始まり、翌年6月始めに終了します。その間の夏休み中に、カペラゴーデン近くにある元々は村の学校だった建物で、作品展示会および販売が行われます。家具製作・デザイン科、陶芸科、テキスタイル科そして園芸科の学生達の成果が並びます。

カペラゴーデンがあるスウェーデン南東のエーランド島は夏になると一大リゾート地となり、ドイツなどからも、たくさんの観光客が訪れてきます。カペラゴーデンの展示会場も観光ガイドブックに載っていて、約2ヶ月半の期間中にたくさんの見学者が訪れます。製作した学生自身が購入した物以外は基本的に販売されています。

毎年、春になると展示会の企画が始まります。会場のレイアウトをする監督を外部から招いたりする事で、毎回、雰囲気の異なる展示会となります。監督は各々の学生が出品したい物を確認し、構想を練っていきます。学生は作品制作だけではなく、宣伝のポスターやカードの制作もします。

展示会場は決して広いスペースではなく、木工科の作品は家具という性質上、学生の希望する全作品を展示出来るとは限りません。学生達の作品には先生達が材料やクオリティー、場合によっては市場価格を考慮して値段をつけていきます。かなり高価な物も多いのですが、「カール・マルムステン」の知名度と、カペラゴーデンの「CG」マークの効果は大きく、出来の良い物はすぐに売却されていきます。

それでは展示会場へどうぞ!
1クローナは現在約15円です。

カペラゴーデンから南へ数百メートル先にある、教会脇の展示場です。毎年、展示会は6月1日から始まり8月中旬(今年は17日)まで続きます。夏以外はほとんどの期間、閉鎖されているのですが、時々、催しや芸術家の展覧会の為に貸し出される事があります。


展示会場入り口の壁には、学生個人が工夫を凝らした写真がかけられています。会場内にはそれぞれの自己紹介を兼ねたファイルが置かれていて、コンタクトを取る事が出来るように名刺を入れておく者もいます。


カール・マルムステンの戸棚「Undantaget」。タモ材。35,000クローナ。


今年の1年生の作品。カール・マルムステンの「Soergaard」。ナラ材。14,500クローナ。


2年生の作品。オリジナルデザインのサイドボード。カエデとウォールナット材。22,000クローナ


前回のレポートで紹介した職人試験作品のひとつ。非売品。


これも前回紹介した葉巻収納ケース。職人試験作品。スウェーデンのマッチ会社がスポンサー。


アメリカからの留学生が製作した椅子。デンマークデザインの影響を受けたそうです。値段交渉次第。


2年生の作品。カール・マルムステンの「Lilla Kina」。ナラ材。48,000クローナ。


2年生の作品。巻き扉になっていて、引き出しの左右には書類や本を収納するスペースがあります。


これも2年生の作品。テレビ収納戸棚


3年生の作品。贅沢な材料取りが必要なカール・マルムステンの「Videmar」。カエデ材。革座面。ソープ・フィニッシュ。


3年生の職人試験作品の一部。書斎机の横の壁に取り付ける事を想定しています。


1年生の作品。カール・マルムステン「Ludvik」。洋梨材。19,000クローナ。


2年生の作品。カール・マルムステン「Kina」。仕口などが非常に複雑な構造になっています。カエデ材。革座面。ソープ・フィニッシュ。11,000クローナ。


1年生の作品。壁に取り付ける収納ケース。突き板の組み合わせがとても美しいです。ひとつで3,500クローナ。


展示会場内の一部屋。


今回は木工科の作品を紹介しましたが、写真に写っているテキスタイルや陶芸作品も全て学生の製作した物です。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!