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スウェーデン木工留学記
ストックホルム編
2004.08.18
第23回 コペンハーゲン旅行(前編)
こんにちは、須藤 生です。ストックホルムはやっと夏らしく暑くなってきました。先日までは日本とは逆に雨の多い涼しい日が続き、記録的な冷夏になっていました。
さて、今回は7月終わりに訪れたデンマークの首都、コペンハーゲン旅行についての報告です。
ストックホルムから電車で約5時間、飛行機で1時間ほどの距離にあるので、日帰りも可能な距離です。交通費を調べてみるとSASの飛行機で往復しても電車と大差が無いことが分かり、僕は空路での移動を選びました。ただし、早朝の便なので5時台に自宅を出発しなければなりませんでした。
コペンハーゲンには8時過ぎに到着。まだ商店は開いていませんが、荷物を空港から15分ほどの中央駅のコインロッカーに預けて早速、街へ出てみました。この写真はコペンハーゲン中央駅。ヨーロッパ他国の中央駅と比べると小さいですが、構内には国際駅としての設備が一通り揃っています。 |
市内で一番賑わうストロイエ通りへ。まだ人も少なく気軽に歩けました。前日までのストックホルムとは違い、コペンハーゲンは快晴。 |
一つ前の写真の左方向。この通りは観光客が集まるだけあり、たくさんの店が並んでいる。まずはそのうちの幾つかの店を紹介します。 |
ストロイエの通り中程を過ぎるとロイヤル スカンジナビア グループの店が並んでいます。銀製品のジョージ ジェンセン、陶器のロイヤル コペンハーゲン、家具、衣料、生活雑貨などを扱うイルムス ボリフスなどです。 |
まずはイルムス ボリフスへ。この店はセレクトショップとも言えるほど多種多様な物を揃えています。僕の私見ですが、僕が今まで見てきた色々な国の店の中でも一番だと思っています。最近はちょっと高級ブランド品が増えているみたいですが、購入しやすい値段の商品もたくさん揃っています。 |
デンマークの家具デザイナー、ニールス ミュラーの椅子。椅子No.78が3,015クローナ(約44,600円)、アームチェアーNo.62は4,103クローナ(約60,700円)。写真の6脚セットだと夏のセール価格で14,995クローナ(約221,800円)。うーん、なかなか悪くない価格。1デンマーククローナは約18円。消費税25パーセント込み。僕の在籍するマルムステン校2年目の最初の課題で、この肘掛けが無いタイプの椅子を2人の学生が作ります。 |
フリッツ ハンセン社製の商品。ヤコブセンの椅子は生地付き、革張りモデルや、肘掛けのある物、キャスター付きのセブンチェアーなど多種が並んでいます。 |
家具ショールームにはアメリカやイタリアの物も並んでいますが、ほぼ北欧家具の展示場の様になっています。これはウェグナーのYチェアー、3,700クローナ(約54,700円)。ランプはNormann社製。直径52センチの物が700クローナ(約10,400円)。 |
ウェグナーの椅子が今回はやけに多い。これは右奥に並んでいるのはOxchair。これはかなり高価で43,000クローナ(約636,200円)。 |
僕のあこがれの品、ポール ヘニングセンのランプ。かなりの歴史を持つ正統派のデンマークデザイン。電球の光が目に入らない構造ですが、笠で光を柔らかく反射し照らします。蛍光灯が無い時代には工場の照明などにも大量に使用されていました。これはガラス製の笠ですが、アルミやプラスティックのモデルもあります。手前の3灯式は15,000クローナ(約221,900円)。ヘニングセンのランプはLouis Poulsen社から製品化されています。 |
これもLouis Poulsen社の製品、Moserランプ。渦巻き状の模様がうっすらと見えるガラスもあります。 |
ヘニングセンのPH Artichokeランプ。銅板(たしか72枚)が光を柔らかく拡散する。100万円ほどしますが、コペンハーゲンではよく見かけます。 |
パントンの照明器具。彼らしく、非常に斬新な物が多いです。 |
今年はウェグナー生誕90年でもあり、彼の作品の展示数(もちろん販売している)がいつになく多くありました。5階建て店内の一角に彼の作品がまとめられていて、ウェグナーの椅子が好きな方にとっては堪らない場所でしょう。店内の椅子は自由に座ることができますが、ここだけは禁止になっていました。 |
奥の棚にはThe Chairなど超有名モデルも揃っています。The Chairは、実は2種類のモデルがあるのをご存じですか? 背の形状が異なっています。 |
イルムス ボリフスにはこれまで見てきたような超高級品だけではなく、キッチン用品、衣料、バス用品、雑貨など生活に関する物がたくさん並んでいます。建物内部でジョージ ジェンセン、ロイヤル コペンハーゲンとも繋がっています。 |
日本にもたくさん出店しているGeorg Jensen(ジョージ ジェンセン)のデンマーク本店。今年はジェンセンが工房を開いてからちょうど100年目の年にあたり、記念展示も行われていました。 |
ジェンセンの代表的モデルのブローチNo.159。現在はラピス ラズリ、ムーン ストーンがはめ込まれた物と、総て銀のモデルがあります。実は着物の帯留めなどに使っている日本の方も多いそうです。 |
ジェンセンは、超高級な宝飾品がもてはやされていた時代に、一般庶民でも購入可能な銀と半貴石を使ってアクセサリーを作りました。アール ヌーボーの影響を強く受けている彼の作品は、当時の銀デザイン界に大きな衝撃を与えました。 |
上流階級の間でもジェンセンの製品は流行しました。本店地下には博物館があり、特注品と思える物など過去の名品が展示されています。これはベルトのバックル。 |
初期はアクセサリーが中心でしたが、その後は食器なども作っています。この写真の物などは、銀の板をひたすら叩いて形成する為、かなり高価です。コペンハーゲン市内にはこのような銀製品を扱う店がたくさんあります。 |
ロイヤル コペンハーゲンのデンマーク本店。一階には伝統的な柄の商品が並んでいますが、最近はモダンなデザインの物も増えてきています。 |
とても有名なモデル。 |
テーブルセット。全てこの建物内で手に入るものばかり。ランプは先ほども紹介したNormann社を有名にしたNorm69という製品です。 |
店内では絵付けの実演も行われています。軽い筆さばきで柄を描き込んでいく。もちろん下書きはしていません。今回は時間がなくて行けませんでしたが、平日ならば工場見学も可能です。 |
左の皿は釜に入れる前の状態。まだ線がシャープですが、製品になると少しにじんで柔らかい絵柄になります。 |
3階にはアウトレットショップがあります。ちょっと図柄がずれてしまったような物など最新モデルでさえも大量に並んでいて、格安です。 |
次回はちょうどこの期間に催されていたジョージ ジェンセンの展示会2つと、街の家具ショップなどを紹介します。パントンチェアのプロトタイプも見つけました。お楽しみに~!
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!