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スウェーデン木工留学記
ストックホルム編
2005.02.09
第30回 新カメラ購入!新サイト開設!…、課題製作は?(後編)
こんにちは、須藤です。ストックホルムはやけに寒い日が続いています。マイナス2度くらいだと、“おっ、今日は暖かいかも♪”と感じてしまうほどです(笑)。ではでは、2週連続レポートの後半をお楽しみください。
マルムステン校へ戻ってきました。僕の本業である家具製作の学校です。エメリーはいつも作業が一番早く、この椅子も完成間近です。オイル塗装をして磨いているところです。 |
座面の革張りも彼女自身で行いました。初めてだそうですが、綺麗に出来ています。 |
ラスムスの椅子も随分と完成が近づいてきました。これはスクレーパーを使ってフォルムを整えているところ。彼が使っている防音用の耳当ては、ラジオを聞くことが出来るモデルです。 |
ラスムスと同じ椅子を材料違いで作っているハルマン。エメリーとラスムス以外の3人(僕も含めて)は、彼らと比べると製作は遅れ気味。 |
でもハルマンはいつもそう(笑)ですが、後半から猛烈に、そして綺麗に作り進めます。スクレーパーで形を整えた背もたれになる部品。 |
彼は彫り物が得意。たぶん全てを手作業でやったとしたら、僕たちの中で彼が一番上手かも。 |
時差ボケでヘロヘロだった僕はあまり進んでいません…。このレポートが公開されるころには接着が始まっている予定です。 |
クリストッフェル。エメリーと同じ椅子を違う材種で作っています。 |
そんな僕たちの横で、彼女は次の課題の為のボリュームモデルを作ってデザインを思案中。 |
1年生のニクラス。締め切り間近の課題を作っています。 |
今年の1年生は5人のうち、4人が同じような机を作っています。 |
さて問題です。これは真上から見た机の脚の断面です。脚の先端までこの様になっていますが、どの様な意味があるんでしょうか? 木工を学んでいる方は是非とも考察してみてください。ちなみに脚以外の外側には、もう一枚の付き板が貼られます。 |
この机を製作中のカーリン。1年生。ちょうど外側の付き板を貼る準備中。 |
毎週月曜日に行われる1年生のミーティング。1週間の成果を報告します。 |
5人の中でただ一人、違うタイプの机を製作中のエリカ。上手くいかない事が続いていてちょっとイライラし気味だったりするのが、向かいの机の僕にはヒシヒシと伝わってきます。超楽観的に“これなら良いでしょう~”と考える僕に対して彼女は、少しも気を抜かないタイプの模様。 |
オイル塗装をして乾燥中のアンデシュの机。カーリンの机と同じ物ですが装飾が異なります。 |
そうしている内にラスムスは接着直前の磨き上げ。 |
エメリーに手伝ってもらいながら接着開始です。椅子自体にねじれが出ない様に注意が必要です。 |
座面の編み方を検討中。ちなみに左奥の怖そう(笑)なのが1年生のアンデシュ。 |
ラスムスは籐で座面を編む事を決心。まずはバケツの水に沈めてしっかり湿らせます。 |
これはタッカー。ホチキスの芯型の針を打ち込んで籐を固定します。空気圧を利用して打ち込むので、バネを使う物より軽い力で強力に打ち込む事が可能です。 |
真ん中から編み始めます。裏側に回り込んでいる籐の上には、布を一枚あてがって針を打ち込みます。こうすることでしっかりと固定されます。この時点で籐は少し緩めに張るのがコツです。 |
縦の籐を張り終わったら次は横に籐を通し始めます。難しくはないですが、時間がかかる作業です。 |
もう一息で終了です。彼は家具製作科ではなく、椅子の生地張り等をする科の部屋で作業しました。 |
籐が乾くと縮んでピンと張りつめます。重しを載せて少し伸ばそうという魂胆です。実際は何度も座る事で段々と馴染んできます。 |
横でいきなり凄い椅子の張り替えをしていました。王宮や美術館からの依頼かと思って聞いてみると、普通にお客さんからの依頼だとか。しかし、どう見ても普通じゃないんだけど(笑)…。獣(大抵はライオン)の脚という、王室の家具の特徴を持っているし。作業をしているのはこの科の先生、サラ。凄い実力の持ち主。 |
この科では家具の知識も必要ですが、テキスタイルなど裁縫の経験も重要です。 |
ストックホルムが冷え込んできたある日、皆でスケートに行く事にしました。エメリーは超やる気満々でママお手製の帽子、セーター、手袋そしてマイスケートまで持ってきました。まずは学校のパソコン室で営業時間などを確認。 |
スケート場はストックホルムのど真ん中、王立公園内にあります。立地が良いのでたくさんの人が集まってきます。誤算だったのは荷物を預けられなかった事。買ったばかりのカメラが入っている僕は、カバンを柱に縛り付けました(笑)。 |
頼んでもいないのにポーズを取る3人。全員、僕と同じ2年生です。もう一人のクリストッフェルはアンティーク家具見本市の開会パーティに招待されていて、来られませんでした。 |
優雅に滑るエメリー。僕はフラッシュを使わずに流し撮りの練習。改めてこのカメラの実力に感激。そういえば、今回が僕にとって生まれて初めてのアイススケートでした。でも、インラインスケートをかなりやっていたので、無難に滑る事が出来ました。 |
デジタル写真講座が始まりました。講師はプロのカメラマン。スウェーデン語ではあるけれども僕には簡単な内容でした。全4回で計15時間ほど。 |
今月は盛りだくさんでしたが、いかがでしたか? 次回はストックホルム国際家具見本市の話題を中心にお伝えする予定です。それでは、また!
木工留学記
ストックホルム編
カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。
本になりました!
スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0
当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!