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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2005.08.24

第39回 春の展示会+終業式

こんにちは!スウェーデンの夏はもう終わりが近づいているようで、不安定な天気が続いています。現在、僕が通っているマルムステン校は8月末まで夏休みですが、今回は夏休み直前の出来事について紹介します。

これまで1年間(スウェーデンでは6月が学年末)の作品などを発表する、春の展示会が5日間の会期で行われ、作品展示および、校内をオープンハウスとして開放しました。この写真は学校向かいのバス停付近に広告を設置している学生たち。


展示会の企画、会場デザイン、宣伝など全てを学生達で行いました。各科毎に展示場所は別々でしたが、統一されたイメージにまとめました。家具製作科の2年生が作った椅子。僕の物は真ん中。


1年生が作ったマルムステンの机たち。


休憩および軽食を食べられるカフェを併設しました。普段、ここは学生の食堂です。


宣伝用のポスターだけではなく、ビニールテープまで用意しました。


家具デザイン科の作品展示。


ブリオ社との共同プロジェクトで発案された作品の一つ。


カナダの学校へ半年間、留学していたサラの作品。彼女の考える物はいつも面白い。


家具生地張り科の展示。2年生が職人試験前の実力試しとして、生地(もちろん詰め物も)を張り替えた椅子。


こちらは3年生の職人試験作品。幅広なのでソファーと呼べる物かも。


生地張り科の3年生が卒業プロジェクトとして製作した物。欲しい椅子の絵を幼稚園児たちに描いてもらい、形にしました。全部で7脚あり、どれも非常に面白く興味深い物でした。例えばこの写真の星が付いている椅子のスケッチには、“星は柔らかくね!”と指示付き(笑)


いつもはベビーカーに乗っている息子ですが、今回は一緒に歩いて校内を回りました。


数日後、注文していた家具用の金物を受け取りついでに、金物師の工房を見学させてもらいました。自宅の一室が工房になっています。


たくさんのボール盤や旋盤(せんばん)などの工作機械が並んでいました。全てに共通して言える事は、綺麗に整備されている事。工房も綺麗。彼の専門は医療機器の試作。


各種チャック(機械で刃や工作物を取り付ける部位)。かなり古い道具もあり、興味深かったです。


真鍮(しんちゅう)やアルミを使用した家具金物でも、図面さえ用意すれば何でも作るよ、との頼もしいお言葉。彼が製作する金物たちは、市販されている物より遙かに精度が高く出来ています。スウェーデンでは街の金物屋さんでも、まあまあの物が手に入るのですが、日本ではその程度の物でも入手困難なのが現状です。


様々な形状の鍵穴たち。加工難度によって値段が異なります。普通に考えるとかなり高価ですが、どこでも手にはいるとは限らないので、写真の物も含めてたくさんの金物をまとめて購入して来ました。僕は割引で入手できたので得をし、彼は夏前に大きな商いが出来て嬉しかったようです。今後も仲良くしておこうっと。


マルムステン校の終業式が行われ、息子を連れて一緒に参加しました。今年の会場へは船(一般客も一緒です)に乗って移動。


船はストックホルム市庁舎横から出航していて、夏の遊覧船観光として人気があります。


船内の一部は古い木の内装のままで、良い雰囲気を保っていました。息子はカウンターに手をかけて一杯やっている様に見えますが、正確にはベンチに手をかけて水を飲んでいます(笑)。


デッキのベンチに座ってノンビリと。


街から離れるとすぐに都会の景色から切り替わります。


左に見える小さな小屋は、たぶんお茶や読書など用。右に見えるのは、水に飛び込む場でしょうか。スウェーデンではこの様な物をよく見かけますが、本当に羨ましい。


一時間ほどで目的地に到着。綺麗に整備された場所です。


行進して出発する前に整列する兵士たちがいました。


集合場所に到着。今回の終業式の会場はドロットニングホルム宮殿。スウェーデン王室の居城です。


先ほどの兵士たちは王室直属の衛兵です。若い兵士が担当する名誉ある任務だそうです。


館内見学に参加したのですが、息子が大人しくしていられそうもなく庭に出てみる事にしました。


スウェーデンの国王家族が実際に住んでいるだけあり、整備は完璧。


庭には様々な鳥が生活していて間近で見る事ができました。息子にとっては初めての経験です。


小雨が降るあいにくの天気だったので大きな木の下に陣取り、ピクニックをしながら終業式が始まりました。


優秀な学生への奨学金の授与。授与者は前校長です。この翌日から8月後半までの長い夏休みが始まりました。とは言っても、僕はもうしばらくは登校していました。


夏らしくなったストックホルムを歩いてみました。ここは街の南側から少し歩いたところ。階段を登って、坂道を上がっていくと…。


住宅街に見落としそうな扉が。


扉を開いて入ってみると、そこには小さな公園。中には遊具やチェスのスペースまで。ん、奥の方をよく見ると?


実はここはストックホルムの街全体を見渡せる絶景ポイントなんです。芝生もあるので、景色を長めながらお茶なんて事も可能。


こちらはマルムステン校近くにある教会。


そのすぐ近くにも街を見渡せる場所があります。先ほどの場所は南西側からでしたが、こちらは南東側になります。


そして6月のある日、我が家の今年一番のニュースが。写真は夕食後に僕とお散歩中の息子。


スウェーデンで一緒に生活している僕の家族に、一輪の花が咲いたのです(笑)。


6月24日20時58分に、3500グラムの元気な女の子が生まれました! 2歳の息子も立ち会い、家族総出の出産となりました。妻は陣痛の合間に息子へ絵本の読み聞かせをするという、離れ業をやってのけました。その30分後くらいには娘を出産(笑) 母は強し。


病院の食堂で。


まだ学生でありながら二人の子持ちになってしまいました。ここがスウェーデンでなければ出来ない事だったかもしれません。やる事はたくさんありますが、これからも頑張っていこうと思います。


出産翌々日には自宅へ。寝ているベビーベッドはもちろん僕が作った物です。スウェーデンでは命名まで3カ月の猶予がありますが、ビザの申請などがあるのでゆっくりしているわけにもいきません。数日間、考えた結果、充花(みちか)と命名しました。たくさんの人を花で満たすように幸せにしてあげられる子になって欲しいと思います。


ストックホルムの夏は日本と比べるとずっと過ごしやすいのですが、今年は2週間ほどかなり暑くなった日がありました。現在はもう夏の終わりを感じるほどです。では、また次回!

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!