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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2008.03.12

第60回 ストックホルム ファニチャーフェア2008

こんにちは! 少々忙しくしておりまして、久しぶりのレポート更新となってしまいました。今回は毎年2月にストックホルムで開催される北欧最大の家具見本市であるStockholm Furniture Fair 2008の話題です。

これまでに何度かこの見本市について紹介しています(第31回32回がお勧め)ので詳しいことは省きますが、超巨大イベントとなっているミラノサローネと比べると、規模が小さいのでずっと見やすいのがストックホルムの特徴でしょう。また、ミラノよりも一カ月ほど先に開催されますので、その年のトレンドを先に見られるという利点もあるかもしれません。


今年は息子を連れて会場を回りましたので、内容はかなり簡素になってしまいますが、会場の雰囲気をお楽しみ頂けましたら幸いです。この部屋はプレスルーム。これまでは冴えない部屋だったのですが、改装したようでスウェーデンの家具が備えられました。


プレスルームの奥では、ちょっとした展示も行われるようになり、今年はForm Us With Loveの作品。この様な試みはおそらくミラノサローネ(第35回36回参照)の影響があると思われます。サローネのプレスルームはここよりもずっと規模が大きく、お酒まで振る舞われていたので強烈な印象が残っています。


会場入り口すぐの一番目立つ場所では、招待デザイナーの展示が行われます。今年はイタリアのGiulio Cappellini。説明するまでも無いほどの超有名デザイナーですね。昼過ぎにもなると、会場を巡って疲れた方々の休憩場所としても大混雑します。ソファーなどがあるともう大変です。


今年もまずはグリーンハウスから見ていきました。ここはミラノサローネでのサテライト会場に相当する場所で、学生や若いデザイナーの展示ブースが集まっています。有名デザイナーや企業の者もたくさん見に来るので、チャンスを掴みたい若者たちの熱気で溢れています。面白い試みの物もたくさんあるので、毎年見飽きません。


マルムステンCTDの家具デザイン科の学生が考案した机です。実はこれ、接着が全く行われていません。それでいて十分な強度が出るように考えられています。通常は思いつかない手法ですが、家具の構造などを深く理解する為にはとても良いですね。


シンプルな模様の入った寝椅子? でしょうか。


椅子は普通、体を預ける物ですが、これはちょっと面白いですね。


家具製作科の一年生たちの作品です。この円形は作り出すのが大変だったと思われます


ファニチェーフェアでは、家具の展示がもちろん一番多いのですが、室内インテリアに関連する物もたくさん並んでいます。でも、暖房器具は珍しいかも。シンプルで掃除のし易そうな物がありました。


新世代のスウェーデン工芸を提案しています。


石川玄さんによるウィンドウシェード。とかく金属製で、無機質なブラインドが多い中、これはとても綺麗で新鮮です。


光の当たり方や、見る角度によって表情が変化するのが美しいですよね。


今年からDesignboomデザインブームによるマーケットも会場に設けられました。この電球型のランプシェードは日本のkyouei Designさんによる物。会場の入り口に設けられていた物なので非売品。


見本市会場では好みの物があっても手に入れる事はできませんが、このマーケットでならば即購入可能。もうちょっと分かりやすい場所(今回は少し奥まった位置)になればもっと流行ると思うのだけど、どうかな。日本の方もたくさん出展されていました。


今度は企業ブースが立ち並ぶ場所へ向かいます。ここにはDavid Designによるプロトタイプの照明がありました。シュレッダーを通した紙の様なイメージでしょうか。


その年最初の大きな展示会だけあって、各企業ともブースの設営には力を入れています。2階建てにして、上の階ではパーティなんていう所もあるんですよ。会場は商談の場でもありますが、ちょっとしたお祭り気分なのかもしれませんね。


僕が最近、気になっているのが、NC家具社。スウェーデンのデザイナーによる綺麗な家具に力を入れています。大量生産の家具とは違う上品さが漂っています。


掃除の時には効果絶大でしょう。奥にあるスツールも面白いですよ。


子供に使わせたいです!


スウェーデンを代表する家具メーカと言えば、このSwedese社も挙げられるでしょう。


特に美しいのがこのコート掛け。何も無くても、それだけで絵になります。


こんな本棚があったら、写真集とか装丁の綺麗な本が、たくさん欲しくなりそうです。


Offect社からはこれまでは見られなかった、内装の提案が大々的に行われていました。会社内の応接室などをこうしたら、インパクトがあって面白いかもしれません。


それまでは人混みの凄さに大人しくしていた僕の息子ですが、段々と興味がある家具では遊ぶようになりました。


Stolab社では、2年前にグリーンハウスで展示されていた学生作品が、商品として並んでいました。


勉強机としてもとても良さそうなシンプルな机と椅子です。


カール マルムステンの名作Lilla Alandを、揺り椅子にした新商品も並んでいました。


簡単な紹介になってしまいましたが如何でしたか? 実際はもっとたくさんの素晴らしい家具たちが並んでいます。ちょっとしたファッションショーの様で面白いです。そして刺激に満ちあふれていました。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!