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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2009.02.25

第72回 ストックホルム ファニチャーフェア2009(前編)
企業の展示

こんにちは!ストックホルムの須藤です。

現在のスウェーデンは冬らしい寒い日々が続いていますが、毎年恒例のストックホルム ファニチャーフェアが開催される時期となりました。その年の新作北欧家具が発表される大きな家具見本市で、5日間開催されます。街中でも様々なイベントが企画されますので、ちょっとしたお祭りのような感じでしょう。

4月に控える世界最大の家具見本市であるミラノ サローネと比べると、ストックホルムの見本市はずっとコンパクトです。とはいえ、見どころが少ないのかというと、決してその様なことはありません。むしろコンパクトだからこそ、見やすいとも思いますし、その年のトレンドを知るのには絶好の機会です。

見本市というだけあり、最初の4日間は商談向けに割り当てられています。世界中の家具関連業種の方や、レストランや事務所などの内装を一新したい経営者などが主なターゲットでしょう。新しい顧客を見つけられれば最高ですからね。

ということで、展示商品はただ並べられるだけではなく、見せ方(魅せ方)にも各メーカーごとの特色が現れています。この写真は綺麗な木製家具が得意なNC Möbel社の製品たちです。


毎年、一人のデザイナーが招かれて、会場内の一番目立つ場所で作品展示を行います。展示空間も含めてですので、デザイナーの個性が非常によく分かり面白いです。掲載写真は色を少し修正していますが、青の照明だったんですよ。


彼女が今年の招待デザイナー。オランダのIneke Hansさん。


ありとあらゆる種類の家具が並ぶ見本市会場の中でも、彼女の作品は非常に独創的です。


まずは、企業の展示が並ぶホールを見て回りましょう。
David Design社の新作です。


Gärsnäs社の会場にはÅke Axelssonによる椅子Light & Easy。名前の通り、ビックリするくらい軽量です。スタッキングも出来るんですよ。


Anna von SchewenデザインのTwistチェアー。捻れている斬新な後ろ足が特徴です。


おそらく北欧で一番モダンな家具を作っているのが、Offect社。展示の仕方はシンプルですが、格好良いですよね


Palma Meetingチェアー。


こちらがMoon。私の娘が使い勝手を試しています。え、遊んでいるだけ(笑)?


コントラストが美しいハンガー掛け。何も掛けずに、このままにしてしまいそうです。


そしてOffect社から、新作のソファーシステムGrowを発表したのが柳原照弘さん。数年前には若いデザイナーたちの発表の場GreenHouse(ミラノサローネでのSateliteに相当)で出展されていたのですが、その時に才能を認められ、今年は商品として作品発表。素晴らしいです。


スウェーデンらしい綺麗な素材とデザインの家具が得意なSwedeseのブースです。


重厚ですが、着席時のスペース(足まわり)が広く、悪くなさそうです。


僕が気に入ったのがこのカート。無駄が無く、美しいフォルムです。


木地が見えているとよく分かるのですが、決して安っぽい作りではなく、むしろかなりしっかりとした構造になっています。


Källemo社の展示会場。一目でMats Theseliusによるデザインだと分かる椅子STARがありました。これまでの彼の作品と比べると簡潔なデザインになっています。コストを下げるためかも知れませんが、それでも十分にテセリウスの特徴が現れています。真珠柄のモデルは限定品だそうです。


Anna Kraitzによるソファー。シンプルなフォルムですが、可愛い遊び心が面白いですよね。


布地メーカーKvadratは会場の高さを一杯に使った展示でした。


商品見本がそのまま壁になるという構造です。小さな切れ端を見るよりも効果絶大でしょう。


もちろん、商談の場も設けられています。色遣いや、空間の仕切り方など絶妙で感心させられます。


Karl Andersson & söner社から発表されたのがSanna Lindströmのデザインによる収納システムSign。二年前に彼女の卒業作品(マルムステン校家具デザイン科出身です)として作った物が商品化されました。メディアに大きく掲載されたり、街中で個展を開いたりと目立っていました。


そして、もう一つ。このソファーテーブルNewtonは須長 檀さんとStaffan Holmによる作品。今年度のThe Nordic Design Prizeという大きな賞を獲りました。


同じくKarl Andersson社から発表された戸棚Mrs Billも、僕の知人であるMick Bornの作品でした。


Anna Kraitzによるソファー。シンプルなフォルムですが、可愛い遊び心が面白いですよね。


各会場にはこのようにちょっとしたお菓子が置かれていますので、こども達を連れて行くと大変です(笑) 軽食や、お酒を提供しているところもあるんですよ。


家具だけではなく、インテリアに関する様々な物が会場内には並んでいます。空間を印象づけるといっても過言ではない照明を見て回りましょう。


Le Klint社の全く異なる二つのランプをご覧ください。こちらは1970年代にChristian Rŀderによって作られたJokerが復刻されました。今でも充分斬新なデザインだと思います。


こちらはLe Klintらしい和紙や折り紙をイメージさせるランプシェード。右奥のBuketten(花束)は点灯していないように見えますが、LEDを使用しているそうです。


光がリング内側で反射し柔らかくなっています。大きな空間につるすと綺麗そうです。


このように照明たちを見ている中で、驚いたのがこれ。ベルギーのDark社製Spacewalker。日本人の私にはどうしてもゲゲゲの鬼太郎に出てくる目玉親父に見えてしまいます(笑)


同じくベルギー発の照明。流行りのLEDを用いていますが、一枚の磨りガラスを通していますので、光が綺麗に拡散しています。


任意の向きに取り付けられますので、公共空間での面白い使い方ができそうです。


工業生産に向いた製品が会場のほとんどを占める中、素晴らしい出来の北欧家具も並んでいます。デンマークのP.J. Furniture社のリビングセット。デンマーク家具を勉強する上で、必ず触れることになるOle Wanscherの名作です。


次回は、学生や若手デザイナーの展示会場Green Houseを紹介します。お楽しみに!

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!